- 発売 2023年7月
- 出版 KADOKAWA
✅本書の個人的なレビュー
読後感 | 🌟🌟🌟🌟🌟 |
予想外 | 🌟🌟🌟🌟 |
ほっこり | 🌟 |
笑える | 🌟 |
泣ける | 🌟🌟🌟 |
・非正規雇用の人
・世の中の不条理を嘆いている人
内容紹介
第26回大藪春彦賞受賞作! 希望と成長の社会派青春群像劇。
その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった――。自分の生きる社会はもちろん、自分の人生も自分で思うようにはできない。見知らぬ多くの人々の行為や思惑が作用し合って現実が動いていく。だからこそ、それぞれが最善を尽くすほかないのだ。共謀罪始動の真相を追う薮下。この国をもはや沈みゆく船と考え、超法規的な手段で一変させようと試みるキャリア官僚。心を病んだ小学生時代の友人を見舞っては、噛み合わない会話を続ける日夏康章。怒りと欲望、信頼と打算、野心と矜持。それぞれの思いが交錯する。逃亡のさなか、四人が決意した最後の実力行使の手段とは――。
最注目作家・太田愛が描く、瑞々しくも切実な希望と成長の社会派青春群像劇。第26回大藪春彦賞受賞作。出典:出版社サイトより
感想
日本で働いている全ての労働者に読んでほしい本でした。
時系列が結構前後するのですが、さすが太田愛さん!すごく読みやすく、そして分かりやすく書かれているため、頭が混乱せず、本の世界にのめり込んだまま読み進めることができました。
大手企業と政治家の繋がり。裏金問題。黒を白にできる力…。
現在の日本国が抱えている問題をかなり鮮明に書いた本だと思いました。
低賃金で働く労働者が描かれていましたが、過去と比べると、最低賃金は毎年のように上がっています。それでも生活は楽にならず、苦しくなるばかりです。やはり、税負担が増えていることと、物価の高騰がリバーブローのように効いているように思います。
「はたらけど はたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る」
石川啄木が残した歌ですが、本書を読んでいて、この歌を思い出しました。今の日本を表している歌だなと思ってしまいます。
資本主義で成り立っている今の世の中ですが、日本は戦争で負けたことにより、搾取される側になったのだなと思いました。
日本が戦争しなければならない状況に追い込まれた時点で、未来は決まっていたのかもしれないと漠然と思いました。
今の日本を御先祖様が見たらどう思われるのか…。
この1冊で、本当にいろいろなことを考えさせられました。
労働基準法などの勉強にもなるすばらしい本だと思います。
読んで良かったです。
紹介した本
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本棚:2024年に読んだ本
ジャンル | 冊 数 |
ミステリー・サスペンス | 15 |
文芸フィクション | 15 |
社会系フィクション | 6 |
社会・ビジネス・自己啓発・教育 | 3 |
合 計 | 39 |
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